幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「間者の一族です。彼等が集めた情報は、正確で信用されています。ただ時々、有力貴族の情報を勝手に収集するんです」

「いざという時、身を守るためですね?」

「そう言われています」


でも、今回ばかりはレディ·クリスタルの悪事を暴くためのようだ。


「クリスタル、どういう事だ?」

王様の声は冷ややかだった。


「因みにそれも偽名ですよ」

リーが追い打ちをかけた。

「本名はアグネス·クリス。先王の弟殿下の庶子です。つまり王様、あなたの従妹ですな。訂正したい事はありますか? レディ·クリスタル」


「ないわ」

レディ·クリスタルは狂ったように笑った。

「もう少しでわたくしの望みは全て叶ったのに。イアン、相変わらず嫌な人ね」


「望み? 散々思うままに振る舞って来たではないか」

王様が言った。


「愚かな人ね。わたくしの望みは権力などではないの。この国と」

レディ·クリスタルは王妃様を指さした。

「あの女の祖国が滅びる事よ」

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