幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ひょっとして、待っててくれた?」


「そうだよ」


嬉しいけれど、少し違和感を覚えた。

ショーンはいつも、ローズマリーとあたしを平等に扱う。


「後でローズマリーに文句を言われそうだなぁ」


あたしがそう言うと、ショーンは『かもね』って肩をすくめた。


もしかしたら、明日はローズマリーだけを散歩に誘うのかもしれない。

それなら納得がいく。


あたしは、ショーンと並んで歩きだした。


「伯爵様はいつ帰って来るの?」


「それがね、連絡がないのよ。もうすぐ五月祭だから、それまでには帰ると思うけど」


五月祭は一年の豊作を祈る大事なお祭で、先代の伯爵様もホークも、祭の時は必ずアルス村に出向いていた。


「君は、妙な噂を耳にしてない?」


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