幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたし達は、もう十年もこう言い合っている。

村長の次男坊であるショーンは、あたしとローズマリーよりも二歳上で、とってもハンサム。

村の学校で、空みたいな青い瞳と金色の巻き毛をしたショーンに笑いかけられてからずっと、あたし達は彼に恋をしてる。


鍛治屋の一人娘のローズマリーと結婚するなら、ショーンは鍛治屋になるしかない。

下級とはいえ、貴族のあたしと結婚すればショーンは伯爵家の家令になれるだろう。

でも、そんな好条件をもってしても、あたしはローズマリーに負けそうな気がする。


ローズマリーの髪はストレートのプラチナブロンドで、すっごくキレイ。

おまけに片頬にできるえくぼが可愛らしい。

あたしもこんなパッチリとした目だったらよかったのに。

それにこんなぱっとしない砂色の髪じゃなかったら。


「あたし、不利かも」

あたしは弱気になった。

「あたしがショーンだったら、毎週村のどこかを吹き飛ばす妻より、しっかり者のローズマリーを選ぶもの」


「ショーンはあたし達のどっちも選ばないって事もあるわ」

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