KIRINの恋

「ああ別によこしまな気持ちがあるわけじゃないよ？まあ一緒に仕事がしたいって感じかな」

ああなんだ仕事か。

あからさまにほっとしたまどかの様子に松田は笑った。

「ほっとした？」

「えっ！」

自分で顔が赤くなるのが分かったまどかは、思わず顔をそむけた。

「ほんとかわいいね、城田さん」

まどかはその言葉にますます顔を赤くした。

「もう！からかわないでください！」

「ごめんごめん。」

このまま行けば、もしかしたら、もしかするのかな。

彼氏いない歴に終止符がついに打たれるのかな。

一気に膨れ上がった気持ちに水をさすようにまどかの耳にこの言葉がよみがえった。


『KIRINは重い』

そういえば小坂がこんなことを言っていた。

松田もまどかがKIRINと知ったら引いてしまうのだろうか。


「きりんか…」

思わず呟いた。

「きりん？見たいの？」