KIRINの恋
第2章

「まどかさーん。今日は食堂行きますぅ?一緒に行きましょうよぉ」

会社の昼休み。

声をかけてきたのは同僚の田所美奈である。

「いいよ。これ片付けるからちょっと待って。」

上司に頼まれた書類をさっさと片付けたまどかは、美奈とともに食堂へ向かった。

現在まどかは派遣社員としてこの会社で働いている。

「聞いてくださいよぉ。まどかさん。彼ったらまたドタキャンしたんですよぉ?信じられますぅ??」

ランチタイムは決まって美奈の彼氏の話を聞くようになっている。

美奈はまどかよりも年下でかなりの童顔である。

高校生と言っても通用するのではないかと思われるくらいだ。

にもかかわらず恋愛経験は、幼い顔つきからは想像もできないくらい進んでいる。

「付き合って1週間経つのに、まだHしてないんですよぉ?」

大声で語る美奈にまどかの方が焦った。

「ちょっと美奈ちゃん。声大きいから」

「だってぇ」

半べそになりながら美奈は言った。

「一週間ですよ?あり得ます??」

「えっ?さ、さあねぇ。彼には彼の事情があるでしょうしねえ」

恋愛経験ゼロのまどかにはそんな判断はできない。

「事情って例えば??」

「えーっと気分が乗らないとか…?」

私に聞くなそんなこと!

思わず突っ込みたくなった。

がそんなこと言うわけにはいかない。

「まどかさんの彼はそういうことあるんですか?」

< 6 / 35 >

この作品をシェア

pagetop