無償の想い
「俺はこういうのは慣れてるけど今日はちょっと緊張したな」

「なんで?」


「だって・・・」


「だって・・・・何?」



「だって助っ人が麻美しか居なかったし」

そう言って笑う武。

「もう!それどういう意味よ!最低!」

「冗談だよ。全く、冗談の通じない奴だなあ」

「性格が素直ですから。私に冗談は通じません」

「ああ。でも緊張したのは本当だよ」

「全然緊張してる様には見えなかったけど?」

「毎回プレゼンは冷や汗もんだよ。それだけ責任もあるからな」

「ふーんそうなんだ。ほら、料理が来たから食べようよ」

「あ、全然話聞いてねえな!この!」

「いただきまーす!」

「はいはい」

お昼にパスタなんて久しぶり。

いつもは会社近くのお弁当屋さんかファーストフードだし。

「武はいつもこういうお昼なの?」

「ん?外回りの時はもっと簡単に済ませるよ。立ち食いそばとか」

「なんかサラリーマンって感じだね。背中に哀愁を感じるような」

「いや、俺サラリーマンだし」

そういって二人で笑う。

食事も終わり、コーヒーを飲みながら武が言った。
< 77 / 122 >

この作品をシェア

pagetop