[完] スマフォン忍者 HISANO
「壱、忍者であることを明かすべからず。」

「壱、忍者であることを明かすべからず。」

 今はまだ午前五時。

 春の空気が、眠気を誘う。

 これは篠田家の朝修行の様子である。

 初めに、篠田家の掟を家の主人が言って、他の者が繰り返すが・・・


――本島(本州のこと、今は東京を指している)の空気はまずいな。――

 そう思いながら、寿乃はうたた寝しそうになる。

 彼女は故郷の久家島(クゲジマ)を離れ、東京に渡った。

 あまりにも環境が違いすぎるせいか、一か月経ってもなかなか慣れない。
 

「弐 何があろうとも、人を殺めてはならぬ。」

「弐 何があろうとも、ふわぁぁ~。」

「ひっ、寿乃ちゃん。」

 寿乃が大あくびをした。隣に座っている瞳美は、悪い予感を感じる。




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