[完] スマフォン忍者 HISANO
「寿乃、いい加減目を覚ませぇ!」

 その瞬間、雷が落ちたように寿乃の姿勢が良くなった。

 そして、本家の主人で瞳美と啓仁の父の武仁(タケヒト)に怒られたことを知った。

「申し訳ありません。」

 寿乃は深々と頭を下げる。

――あぁ、またやっちゃった。――

 寿乃の体はしゅんと小さくなる。

 けして大きくない寿乃の体が、小さく見える。


「よい、続き言うぞ。
 参 後ろから襲わず、正面から襲うべし。」

「参 後ろから襲わず、正面から襲うべし。」

 寿乃の声は瞳、啓仁より大きくなった。

 それからあと三つおきてを言って、

 ぴぃぃ~♪

 武仁のホイッスルを合図に、寿乃たちは素早く立ち上がる。

 そして、四人の作務衣の袂から水泳用のゴーグルを出す。

 武仁は籠の中から直径二センチ、長さが十五センチの木製の棒を取り出す。

 籠の中をよく見ると、それが何十本も入っている。

 一体これは、何なんだろう・・・?




< 3 / 258 >

この作品をシェア

pagetop