サグラダ・ファミリア
「さてと、本体方、
 到着したばかりの所悪いけど敵が迫ってる、
 街で一番生霊に都合の良いスポットは、
 ガウディの作品の中だ、
 そこまで逃げて、迎え撃って、
 グエル公園まで行くよ・・・、
 グエルのトカゲに知恵を借りる』

グエルのトカゲ?
私が心の中で首を傾げたので、
ゆうこさんが説明をしようと口を開く。

『説明なんか後だ、急げ、丘を降りろ』

狐は私達の思考回路を熟知しすぎている。

『ここは私とセキコで食い止めるから、
 貴方たちは迅速に、気配を殺しながら先を急ぐのよ』

セキコ・・・。

『セキコは俺の名だ』

「「知ってるよ!!」」

私とゆうこさんではもると、狐は細い目をさらに細くして、
妖しげに笑った。
女の姿の狐の美しさは異常。

「行くよ」

「「うん」」

「お供しまーす」

ソフィスティケイテッドの、間の抜けた声が、
緊張感を和らげる。

クイナと狐を丘に残し、私達は来た方と、別の道に走った。


モンジュイックタワーの100m先、
巨大な競技場、パラウ・サン・ジョルディの後ろを抜けて、
山の中に敷かれたアスファルトの道を、
延々と走る。

中学・高校と運動部だったおかげで、
淡々と前に進むことができた。
しかし苦痛は心臓や、筋肉に素直に訴えを起こす。
今、止まっても良いと言われたら最高に幸せだと、
思う程つらい。久しぶりの長距離走。
きつい。
きつい。
息苦しい。
心臓痛い。
きつい。

きつい。

「大丈夫?」

ゆうこさんが声を掛けて来た。
そっちだって辛いでしょ。
どうしてそんなに貴方は強いの。

「大丈夫」

強がった返事をすると、
ゆうこさんは笑った。

「大丈夫って聞いたら、
 大丈夫な気がして来た、
 私も頑張る」

そうか、辛い時、
辛くても、声を掛けるんだ。
声を掛けてみると、
辛さを和らげあえる。

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