NObody
忘れられない人
君に出会ったあの日からもうどれ位の月日が流れたのかな。
あの頃は、学校に行けば毎日無条件に君に会えて
それが、ただただ嬉しくて楽しくてあなたに会いたくて通学路を駆け抜けた気がするよ。
そんな日々がいつまでも続くような気がしてた
まだ子供だったあの頃は、恋ってものをよく分らないままあなたを好きになったね。
今でも恋が何かなんて分かってないんだろうけど。
私の心は中学生で止まったまま決してそこから動かない
まるで、もう心に隙間がないみたいに…あなたで埋め尽くされている。

そんな事、周りに話したら引かれるかな?気持ち悪いかな?
純愛なんて言えば聞こえはいいが、ただ脚色されて目の前現実から逃げているともとれなくないな。

中学生だった私からもう10年の歳月が流れていた。
年齢はすっかり大人と呼ばれる歳で仕事もそれなりにうまくいっている。
周りは恋愛や結婚をして幸せそうに過ごしているのに
どうして私だけ止まったままなんだろう

いつもと変わらない朝
いつもと同じ道、同じ景色、変わらない駅。
スーツに身を包み、少し高めのヒール
髪は綺麗に一つに束ねて
化粧は派手すぎず、
地味すぎないように。

仕事に遅刻するのが嫌でいつも一本早い電車に乗るのが日課だ。
ありふれた日常…
ふいに、壊したくなった。

なぜだろう?あなたに会いに行かなくちゃと
いても立ってもいられなくなった。
私の斜め前に立つ男性の後ろ姿があなたに似ていたから?
懐かしい香水をつけたせいなのか…

私は並んでいた列から咄嗟に横にはみ出すと
一気に後ろから前に詰めて私のいた隙間は埋まってしまった。
虚しくなった。
バカバカしくなった。
そう思うと足が止まらなかった
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