王子様と秘密ごと
「むかつく。超むかつく。」
「うん。」
「だから行かせて…!」
「行かせる訳ないでしょ。」
終わらない話。
この言い合いは結局終わることはないだろう。
「せっかく2人きり、なのに。」
「…!」
折れたのは私だった。
いや正確に言うと折れたのではなく言葉を失った。
なんて発言をしてくれてるんだ。
恥ずかしくて悔しいのに頬が赤くなるのが分かった。
やだばれたくない。
そう思って下を向いても、
「照れてるんだ?」
けらけらと笑うこの男にはお見通しらしい。
偽装カップルなのに。
何でこんなことしなくちゃならないんだ。