海までの距離
それを私は分かりやすくライブレポートという形で発信してきた。
…ああ、だから私は日記を書かなくても満足できてたんだっけ。









願書を出したその後、4限の音楽の授業の後。


「真耶ちゃん、帰りにクレープ食べていかない?」


音楽室から出た途端、珍しく咲が誘ってきた。
咲とは高2の時から同じクラスで、多分一番仲のいい友達。
よく放課後に一緒に寄り道していたが、今年の夏休みを過ぎた頃から、それもぱったりとなくなってしまった。


「いいよ。私も生クリームいっぱい入ったやつ、食べたいな」

「やった!真耶ちゃんと遊ぶの、久しぶりだねー」


教科書を抱きしめてはしゃぐ咲が、可愛すぎる。
小柄で、髪が綺麗で、目は大きくて。
本当に羨ましい。
これだけ可愛ければ、世の中で苦労することなんて何にもないだろうに。…受験以外は。
咲だって決して抜群に勉強ができるわけではない。
それでも、ぴーぴー言いながらも咲は頑張って勉強しているようだ。
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