海までの距離
勉強しなくちゃ。
ううん、勉強云々以前に、私の意識は甘すぎたんだ。
意識を変えなきゃ。








ライブハウスの受付で有磨さんが名前（勿論本名の方）を言うと、ライブハウスのスタッフはパスを３枚渡してくれた。
レナさんに促されて、パスを制服のスカートの裾に貼る。
当然私は初めてのことで戸惑いを隠せないけれど、有磨さんとレナさんは慣れた様子ですたすたと会場に入っていく。
海影から招待されてライブに来たことが、何度かあったのだと悟った。
パスをつけていることをファンの子達にひけらかす風もなく、２人はひそやかに会場の後ろで壁にもたれた。
相変わらず差程興味も沸かないバンドが３組続き、漸くハーメルンの出番。
初めてハーメルンを観た時のような、抑え切れない興奮こそなかったものの、胸に何か熱いものが沸き立つ。
ハーメルンのライブが終わると、有磨さんとレナさんにくっついて外に出た。
外には出待ちの女の子達がちらほらいて、さっきステージに立っていたボーカルの男の子と喋っている子もいる。
てっきり私は、２人が他の女の子達みたく出待ち目的で会場を後にしたのかと思っていた。
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