2番目の恋人


「まさか皐、そいつに本気…「言うな。言わないでくれ。」



言ってほしくない。



「俺は、八神皐なんだ。八神として生きないといけないんだ。」


「皐……」



八神皐として生きるのが、生まれた時からの定めなんだ……


「なぁ―…皐。知ってると思うけど、俺、愛華がずっと好きだったんだ。」


「あ、あぁ……」



突然の告白に、正直ちょっと驚いた。



「好きだけど、皐なら任せられるって思った……」



ナガレの愛華への想いが、痛いくらいに伝わってくる。



「でも今の皐には無理だな。」


「は?」



「お前は皐だ。大病院の跡取りなんかじゃなく、ただの八神皐だ。」



「ナガレ……」


「自惚れるな。お前は今、男としても最低だ。」


それだけ捨てるように言い放ち、ナガレは空き教室を出ていった。


男としても、最低か……



「ははっ、その通りだな……」



面白くも無いのに、笑ってしまう。



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