ぼくらのハーモニー Ⅲ

去年は、上手かった。

まず、木管の先輩たちが上手すぎた。

市内でもレベルがあり、自分達も鼻が高かった。

けど、それに隠れて演奏していたのが私達3年生・・・当時2年生だった。

「この子達が引退したら、終わるね。」

そう、講師の先生が言っていたのを聞いた。

「そんなことあるのかな」

そう思ってた。

けど・・・

そうだった。

私達の学年は金管のほうがレベルがあり、逆に木管の方がなかった。

全員とは言わない。

けど、全体としてのレベルが下がってしまった。

下がって

下がって

上がらなかった。

今まで先輩たちの陰に隠れて演奏していたのにこんどは前に出てしまったのだ。

金管もそこは苦労した。

今まで出なかった音が出てくるようになり、ロングトーンはいつもよりも丁寧にやった。

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