air
 




「ちょっとうちトイレ行ってくるね~」

「あ、ちなも行く!」




2人はペンと風船を置いて椅子から立ち上がると、"いってきまーす"なんて言いながら教室を出て行った。

残されたのは、フジと沙織と児玉くんとあたし。


特に話すことなんてないし。


みんな同じ事を考えているのか、黙々と作業を進めるあたし達。




「ねえ」





ふと声をかけられて隣を見ると、ちょっと可愛らしげに目を笑わせながらあたしを見る児玉くん。

"何?"何て言えば、"どんな模様描いてるの?"なんて。


さっきまではちなが余裕で入り込む隙さえあった距離が、今は全くなくて。

あたしがあと少しでも左に傾けば、ぴったりとくっついてしまいそう。




「円とか四角とか」




そう答えるのが精一杯なあたし。





< 52 / 53 >

この作品をシェア

pagetop