air
「ちょっとうちトイレ行ってくるね~」
「あ、ちなも行く!」
2人はペンと風船を置いて椅子から立ち上がると、"いってきまーす"なんて言いながら教室を出て行った。
残されたのは、フジと沙織と児玉くんとあたし。
特に話すことなんてないし。
みんな同じ事を考えているのか、黙々と作業を進めるあたし達。
「ねえ」
ふと声をかけられて隣を見ると、ちょっと可愛らしげに目を笑わせながらあたしを見る児玉くん。
"何?"何て言えば、"どんな模様描いてるの?"なんて。
さっきまではちなが余裕で入り込む隙さえあった距離が、今は全くなくて。
あたしがあと少しでも左に傾けば、ぴったりとくっついてしまいそう。
「円とか四角とか」
そう答えるのが精一杯なあたし。