飛べない黒猫
青田と洋子の結婚祝いの食事会が決まった。

郊外にある一軒家のフレンチレストラン。
天気が良ければ、店舗内の庭でパーティを行う予定。


身内だけとはいえ、大勢の人が集まる。

発作も起こらなくなり、体調も良い状態が続いている真央だったが、そこに出席するのは勿論、不安だった。


「心配すんな。
気分が悪くなったら、2人で会場を抜け出してアイスでも食べに行こうぜ。」


食事会の話しを聞いたとき、蓮は真央に小声でささやき、にいっと笑った。
そのひと言で、真央の気負いがすーっと抜け楽になった。

蓮がそばにいてくれると思うと心強い。



それに和野にも会える。

和野も食事会に合わせて田舎から出て来ることになったのだ。
なにかと忙しいだろうからと、家の手伝いを申し出てくれたのだった。


話したいことがいっぱいあった。

ステンドグラスの入賞の事、昨年の秋に手入れをしていた薔薇が綺麗に咲いた事、そして蓮の事…


2日前には来てくれると言っていた。

時間はたっぷりある。

今までは、うなずいたり首を振ったりするだけだった。
でも、もう違う。

自分の気持ちを伝えられる。


蓮から教えてもらったチャーハンも作ってあげよう。
近くに出来たアイスクリームのお店に一緒に行って食べたい。

あれも、これもと頭に浮かぶ。



真央は何度も時計を見ている。
夕方には着くと、昨夜和野から連絡があった。

今、家には真央一人。
蓮は昼から打合せで出かけていた。


いつもは集中し時間を忘れて作業に没頭するステンドグラス作りも、今日は身が入らなかった。

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