欲望チェリ-止まらない心
近づく距離
それから数日






萌菜ちゃん達は相変わらずだった。


先生も文化祭のことやクラス委員のことでさりげなくプレッシャーをかけてくる。


ひたすら雑用をこなす日々。


1人でなかなか進まない文化祭の作業。


あたしは精神的なツラさに加えて睡眠不足にも悩まされていた。






だけど―――…


あたしの心境にはちょっとした変化が起きていた。


矢嶌紅はあれからも、ちょくちょくお昼に生徒会室を訪れた。


ふらりと現れては、黙々と仕事をする矢嶌紅。


その真意は分からない。


だけどあたしはそれを矢嶌紅の優しさだと感じていた。


接し方もどこか、柔らかくなった気がする。


自惚れかもしれないけど…


それが嬉しくて


あたしにとって矢嶌紅に会うのが密かな楽しみになっていた。


お昼休みと放課後には、矢嶌紅に会える。


それだけで日々の憂鬱を乗り越えられたんだ――…





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