欲望チェリ-止まらない心
「あれ?矢嶌紅も今終わったんですか?」


「ああ」


矢嶌紅は抑揚なく答える。


そしてそのままスタスタと出口に向かった。


「…………」


そんな背中を見て……


あたしの脳裏にあり得ないことが浮かぶ。


もしかして…


一人ぼっちのあたしの為に、お弁当に付き合ってくれた?


いや…まさか…


でも……










ガラガラ、パタン


矢嶌紅は一度も振り返ることなく生徒会室を出ていった。


廊下に響く足音が小さくなる。


しかしそれとは反対に…



ドキン…ドキン…


勝手な妄想に、あたしの鼓動は大きくなっていた。




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