欲望チェリ-止まらない心
そんなあたしにひー君は小さく微笑んだ。


「そんな顔しないで三咲。俺が断った理由は、三咲が考えてる理由とは違うから」


「え…………?」


「むしろ、その真逆。だから安心して」


「???」


ひー君の言葉にあたしはポカンとした。


真逆…?


そんなあたしに、ひー君は困ったように首に手を当てた。


「ん…わからないなら良いよ」


そして、また原稿に視線を戻すひー君。


その顔は少し恥ずかしそうだった。



真逆……


つまり、あたしに魅力があるから…あえてキスをしてくれないの?


なんで??

なんで???


「ひー君…わかんないよ」


「…………」


「嫌いじゃないなら…して?」


ひー君に再度、おねだりをするあたし。


ひー君…お願い。









ひー君は小さく息を吐いた。


「………っ」


やっぱり…駄目?









ひー君は眼鏡を外すと、ゆっくりとあたしを見た。


「じゃあ、一回だけ」


そう言うと、あたしの腰に手を回したひー君。


ドキッ


「こら…目を閉じなさい」


「は…はい…!」


あたしはひー君の胸元を掴むとキュッと目をつむった。


そして、ひー君はあたしにキスをした。





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