eye
私最後にタバコを吸った。


最後にしておきたいことはこれしかない。



くわえタバコでカミソリを用意し、その隣に薬を置いた。



私は今まで嫌なことがあった分腕に傷をいれ、



あるだけの薬を飲んだ。


だんだん意識が遠くなって来た。


なんだか怖くなかった。


このまま眠りにつければ…


永遠の眠りに。






[朱莉?]



[朱莉、聞こえるか?]


[俺がわかるか?]




目が覚めてしまった。



洗い立てのシーツのにおいがした。



そこは私が通う病院だった。


《佐伯さん、わかる?》


香川先生の声だった。



その横には高弘がいた。



高弘は私を見ると



バン



高弘は私をおもいっきり叩いた。



《森山さん!》


香川先生は高弘を抑えた。



高弘の目は涙ぐんでいた。



《佐伯さん。》



《もう少し休んでね。》



高弘は香川先生に連れていかれ、


結局高弘とは一言も話しをしなかった。



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