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つきあって初めて二人で旅行にでかけた。


私は、家族で旅行とか友達で旅行したこがなく、しいて言えば修学旅行くらいだった。



『朱莉まだ?早くしないと電車でちゃうよ!』



[え~。まだお弁当買ってないよ~]


[高弘は何がいい?]



『なんでもいいから早く早く』



1番線電車が発車します。



ピー。




『朱莉大丈夫?』



[うん。走り疲れちゃたけど]


『あはは』



旅行に行こうと言い出したのは私のほうだった。


二人にしかない思い出を作りたかったからだ。


電車はどんどん進み


私の知らない景色を彩り始めた。



少ない人の電車の中で私達は目立っていた。



まわりにカップルは私達だけだった。



おそらく出張に出かけるのだろうサラリーマンのおじさん。



こんな平日にしか休みがとれないのか小さい子供を連れた家族づれ。



1人で傷心旅行なのか若い女性。



私はまわりが気になった。



『どうしたの?』


『キョロキョロして』



[あ、色んな人がいるな~と思ってさ]



『朱莉人間観察好きでしょ?』



[そうかな?]



『よくキョロキョロして人のこと見てるよ』



[自分じゃ気付かなかったよ]



『俺はそんな朱莉を観察してるんだけどね』


[あはは]


『そういえば美里もよく人間観察してたな~』


{美里}


{高弘は私に元カレのことを話したからきにしてないのか}



{最近名前をよく口にする}



{そのたびに私は何をしゃべっていいのかわからなくなる}
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