愛ニ溺レテ
俺ニ溺レロ



男、柊 修也は
女、島野 香奈の顎をクイッと持ち上げ、目線を合わせる。

ここは、大学の校舎の裏。

どこから見ても、死角になる位置に二人はいた。


「まだ。」


修也は口を開く。


「まだ、俺に堕ちないのか。」


無表情で淡々と聞く彼の顔は、整っていて美しい。


「……。」


香奈は無言。

否定も肯定も、しない。



修也が香奈を口説きだして、もう一年になる。


初めて修也に会ったとき

『俺に、惚れろ。』

告白というよりは命令という告白をされた。






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