愛ニ溺レテ



ようやく解放された唇は

貪欲に酸素を求める。



「う、あ……はっ。」


香奈が息を整えていると



「――堕ちた、か。やっと。」


動けない香奈の身体を引き寄せ、抱きしめる。

力の入らない香奈は、ただ、修也に身体を預けるほかなかった。



そして

――カリッ

「…んッ。」


香奈の耳を甘噛みし、
耳元で囁く。




「もがけ。そして苦しめ。」


「……ッは。」


「息ができなくなるほど、俺に堕ちろ。もっと深く…深く、な。」



――堕ちたら、最後。

きっとあたしはこの人から抜け出せない。


「俺に、溺れろ。」



あたしは
この人に、溺れ死ぬ。






【END】
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