新撰組恋絵巻(完)
「……失せろ」
私のこの一言で男は一目散に逃げ出した。
去り際に「覚えてろ!!」と捨て台詞を言われた気がするが、とりあえずこれで一件落着だろう。
私が刀を納めると、あちこちから拍手が沸き起こった。
「いいぞ、兄ちゃん!!」
「やるなぁ…大したモンだ!!」
……なんて声も聞こえてくる。
とりあえず私は先ほど怒鳴られていた娘に声をかけた。
「……怪我はないか?」
「は、はい。貴方様のお陰で命拾いしました」
恐怖心から娘の声は僅かに震えてはいたものの、怪我はしていないようで安心した。