4月1日

4月1日

「うっわー。やっぱ遅刻かなぁ・・・」
朝起きたのもギリギリだったのに、チョコとつい遊んじゃったもんだから、時間的に遅刻なはずだ。担任の田中先生の声が頭の中でこだまする。(何で遅れたの!?もう、何回目なんですか!!)
「めんどくさ・・・・・っ!―というか、ここから全力で自転車をこげばいけるんじゃね?」
よっしゃぁ!と、掛け声を上げると私は学校に向かって自転車を進ませた。春ならではの暖かいようなちょうど良い風が私の髪をなびかせる。全力でこいだ為にかいた汗が風に当たってひんやりと冷たく感じる。
「あとちょ・・っと!」
そう言って、ぐるんと角を曲がる。そうすれば学校に着く。
―はず、だった。
「あ・・・れ・・・・・っ?」
いつもの景色と違う。周りに広がっているのは草原とそれを囲んでいるフェンスと、フェンスの向こう側に広がる壮大な海だった。本当は、学校の裏門が見えるのに。
「道は・・・」
そう言って、もと来た道を少し戻る。道は間違えていない。
頭がパニックになっていると、後ろから声がかかった。
「真海様、真海様」
少し高めの声だった。
「はっっ!?」
「こーこでーすよーっ・・と」
フェンスを飛び越えて、ひらりと私の前に現れたのは、グレーのスーツを着たなかなか端整な顔立ちの青年だった。
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