法螺吹きテラー


やっぱり、戻ろう。


例え悪戯だったとして、
根性無しと笑われてもいい。


俺は、この先へ行きたくない。


そう思って、踵を返そうとした。

なのに、非情な足は、動いてくれない。


そして踊り場の誰かは、

止まっていた誰かは、


俺と同じ上靴の誰かは、

その足を1歩、踏み出した。


その時。


「なあ、もう1人の自分にあったら
どうなるのか、知ってる?」



そんな声が、背後からかけられた。



< 5 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop