法螺吹きテラー


10円玉を入れて、
家の電話番号を押した。


数回の呼び出し音の後、母さんの声がした

財布に10円玉が1枚しか無かったから、
無駄な時間はかけていられない。


「あ、もしもし?自転車パンクしたから
迎えに来て欲しいんだけど……」







無事切れる事無く
要件を伝え、通話を終了した。



校門前に自転車運んで、
親が来るまで待ってるか。

そう思ってボックスを出ようとした。


ぱらりと、外で降る何か。
それが目の端についた。


「……何だ?」

開けようとしたドアの、
上端に見える、黒い糸が数本。


視線を上へ向けると、
その糸の数は増えていき、
すぐにそれは束になっていた。



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