法螺吹きテラー


外を見ると、
マンションの屋上から、

落ちて、辺りを見回し、消える。

少しするとまた落ちて、

落下地点のすぐそばで
何かを探すようにキョロキョロと。


そんな誰かの姿が、
街灯に照らされ、浮かび上がっていた。


飛び降り続けているのは、
ずっと同じ人物のようだ。


俺と同じ制服で、
きっと齢も、同じぐらい。



繰り返している少年は、
ひょっとして少女を探しているんだろうか



あれは、本当の話だった?



俺は教えて貰ったばかりの
先輩のPHSの番号に電話をかけた。


『少年が飛び降りたの、
マンションですか?』

そう尋ねる為に。



もしくは、


『嘘だけど』


あの一言を聞く為に。



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