法螺吹きテラー


ツー、ツーとしか言わない携帯を閉じ、
ふいに窓が気になって、見上げてみた。



既視感。


頭に浮かんだのはその単語。


見上げた先に見えたのは、
空に浮かぶ、人の頭だった。

いや、首も見えているから、
浮かんでいる訳ではないんだろうか?


だけど高校の頃に見た、先生ではない。

同じく高校の頃に見た、長い髪の人。


そう、神花先輩だ。



薄暗い中で、
彼女の顔だけが白く浮かび上がっている。

そしてその目は、
この場所の黒い空よりも、ずっと暗い。


彼女は俺と目が合うと、
ニタリと笑い、
スーッと窓へと近寄ってきた。


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