法螺吹きテラー
とりあえず、かかってきたからには。
「……もしもし?」
無意識に声がこわばる。
だけれど返されたのは、
確かに聞き覚えのある、あの声。
そして何度も聞いた、あの出だし。
「もしもし、佐野君。
なあ、知ってるか?」
先輩だ。
「なん、ですか……?」
「百物語はな、99話で止めて、
そして朝を待つ物なんだよ」
先輩は果たして、
俺が百物語をしていたと知っていて、
この話題を出して来たんだろうか。
「まあ、止めちゃいけないって話もあるし、どっちも変わらないだろうけどね」
そう言って、電話は切れた。
なんなんだ、一体。