STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
その白く透き通った指で
いろんなメロディーを
奏でつつ、時々こうして
あたしに話しかけてくる。



「なんかノンキっつーか……
平和な曲だね」



率直な感想を告げると、
那智は指を止めてプッと
噴き出して、



「ノンキ? 汐音は
おもしろい表現するな」



「だって“あなたが欲しい”
なんて題は切羽詰まってん
のに、曲はなんかほわーん
としてて眠たくなるじゃん」



「ふぅん……なるほどね」



那智はどこかしみじみした
声でそう呟いて、ちょっと
考えるような顔をした。


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