STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
「汐音………!」



あたしの名を呼んで那智は
硬直した。



その隙に舞さんは肩から
ずり落ちたバッグを抱え
直し、『それじゃあねっ』
と捨てゼリフを残して
走り去って行く。



「あ…………っ!」



那智はさらに狼狽した
様子だったけど、それ以上
彼女を追いかけようとは
しなかった。



苦い表情で彼女の背を
見送り、やがて見えなく
なるとようやくあたしに
顔を向けて、



「………悪い。驚かせて」



いつもの那智らしくない、
なんだか弱々しい声だった。


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