STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
和樹は記述でも読むかの
ように平坦な声でそう言った。



あたしの頭は徐々に動きを
再開し――それと同時に、
背中に冷たい汗が伝うのを
感じる。



(ウ……ソでしょ?

それじゃ……和樹は、
知って……?)



「和―――…!」



言いかけた声は遮られた。


いや――出せなかった。



肩に回された腕がものすごい
力であたしの体を引き、
布団に沈ませるように
押さえ込んだから。



「……………っ!!」



そこに、あたしの知ってる
和樹の顔はもうなかった。


_
< 266 / 396 >

この作品をシェア

pagetop