庶民♀♂御曹司【短編】
「結衣さん、お上手ですね」
「そうですか?
うち、まる子が…母があんまり上手くなくて」
結衣は笑うと、母親を思い出し、下に俯く。
「結衣さん…?」
「……今更だな…って。母親のこと、後悔しても意味ないし。
まぁ、恨んだわ恨んだんで…最期は…ちゃんと、お礼…したかったな…って……」
結衣は、チョコを溶かしていた手を止め、天井を見つめる。
「ダメですね。
光芽に…愛込めなきゃイケないのに……」