LOST
END

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人生に得るものはない。
1秒1秒、確実に減っていく寿命のように。
失うものしか、この世にはないのだ。


つねに俺は思ってる。
何かを失いながら、機械的に生き続けている。


2年6組の教室に入って席に着きながら、深山佑宇哉は思う。
周りを見渡すと幸せそうに過ごす馬鹿な奴ばかり。


呑気だよな。
人生に意味なんてないのに。


俺は昔からそうだった。
別に死にたいと思ったこともなければ、人生に不満を持ってるわけでもない。
無駄だと思うだけだ。

死にたがりが思うそれとは、わけが違う。


音楽を聴きながら、いつものように席に座っていようとすると、背後から明るい声が聞こえてくる。

「よぉっ!今日もクールビューティー気取ってんね!佑宇哉くん!」
「汰壱か…。」

振り返るとそこには、俺の唯一と言っていいダチの小宮山汰壱がいた。

「別にクールでもなければ、ビューティーでもないし、気取ってもない。」
「またまたぁー!モテモテなくせして謙遜しちゃって!」

汰壱はケラケラ笑いながら俺の肩を叩きまくった。




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