*初恋*
女の人は、しばらくごにょごにょ
何か言っていたが
突然勢いよく顔をあげた。
そして、胡桃の肩をガシッとつかみ
「……あなた………胡桃……?
胡桃なのっ?!」
搾り出すような声で
そう言った。
すると胡桃は
「いつまで寝ぼけてるんですかっ」
とすかさず突っ込む。
あれ……
寝ぼけてるんだぁ………。
「これはコントなのかな……?」
私は呟く。
すると女の人は
こちらに気づいたようで
くるっと私の方を向いた。
突然こちらを向いたので
ちょっとびっくりした。
視線がバチっと合う。
「あなたは?」
私に向けて放たれたその声は
さっきのごにょごにょした声とは
比べ物にならない
凛としていてよく通る声だった。
私に向けられた目は
まっすぐ私を捉えていて
緊張感が漂う。