*初恋*



女の人は、しばらくごにょごにょ
何か言っていたが
突然勢いよく顔をあげた。


そして、胡桃の肩をガシッとつかみ


「……あなた………胡桃……?
胡桃なのっ?!」


搾り出すような声で
そう言った。


すると胡桃は


「いつまで寝ぼけてるんですかっ」


とすかさず突っ込む。


あれ……
寝ぼけてるんだぁ………。


「これはコントなのかな……?」


私は呟く。
すると女の人は
こちらに気づいたようで
くるっと私の方を向いた。


突然こちらを向いたので
ちょっとびっくりした。


視線がバチっと合う。


「あなたは?」


私に向けて放たれたその声は
さっきのごにょごにょした声とは
比べ物にならない
凛としていてよく通る声だった。


私に向けられた目は
まっすぐ私を捉えていて
緊張感が漂う。









< 21 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop