*初恋*
私はさすがに
胡桃のように部屋に乗り込むわけには行かないので
そっと入り口から
部屋の中を覗いて見る。
部屋の中はうす暗い。
真ん中には机があって
女の人が一人
机に突っ伏している。
その横にはロウソクがあって
小さな火が
ゆらゆら揺らめいていた。
さっきから漂っている
甘い香りは
どうやらあのロウソク、
ないし、アロマキャンドルが
原因らしい。
胡桃が思いっきり
その女の人の肩を揺らした。
すると
女の人がもぞっと動き
ごにょごにょと喋り出した。
「んん……
なによぉ……。今日は定休日なんだから
ちょっとは休ませなさぁい………っ」
「なにいってるんですかっ
美沙稀さんが私を呼んだんじゃないですか。
ちょっとしっかりして下さいっ!」
まるで
立場が逆転している。
でもなんだか面白くって
ちょっと吹いた。
なんかよく状況が読めないが
とりあえずここの店の『美沙稀さん』は
胡桃の知り合いらしい。
そして胡桃は今日、
その人によばれて
定休日のこの店に訪れたらしい。