*初恋*
そんな風に話をしてるうちに
駅についた。
まだちょっと早くて
ホームにはあまり人がいない。
「ここから乗ると
向こうについたとき、階段が近いんだ」
玉木君はそう言って
ホームの割と一番奥のほうで
止まった。
「へぇ
ちゃんとそんなとこも
考えてるんだねぇ」
入学してから二日目で。
「うん
人の波に飲まれちゃうからね」
そう冗談っぽくいって
ちょっと照れたように笑った。
「……ん?
どうしたの?村山さん」
「………?!なっ
なんでもないです………!」
私反射的に目を逸らしたらしい。
「そ……そう?」
玉木くんはそう不思議そうに言って
ホームの方を向く。
「…………」
「…………」
沈黙。