LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■親の心配

奈穂の母親に呼ばれ、急いで階段を下りる
するとキッチンには4人分の食事が用意されていた

『洋くんは好き嫌いない?』

優しい笑みを浮かべる母親

『あの… 食事まで作ってもらうなんて…』
『いいのよ? ちょうど息子から「ご飯いらない」って電話かかってきたのよ…』
『は…はい…』

俺はお言葉に甘えて用意された食卓に座る

何年ぶりだろう
家族団らん…

まぁ、俺の家族じゃないけど



美味い飯を食いながら、俺は奈穂の父親と話をした

仕事の出来る厳格な父親
そんなイメージは脆くも崩れ、意外と普通のオジサンだった

『洋くん、今日からこの家に住むかね?』
『あはは、それいいですねー!』

お父さんも冗談で言ったと思ったんだ
だからコッチも冗談で返した

そのつもりだったのに…




『洋くーん… 君も呑みなさい!』

夜の11時になっても解放してくれなかった

奈穂の父親だとは思えないな…

『洋くん、お父さんはねぇ! 嬉しいんだよ!』

…これじゃそこらの酔っ払いと変わらないよ…

『奈穂に友達がいる事が嬉しい! 笑う事が嬉しい!』
『そ、そうっすか…』
『あいつは笑わないし話さないし、自閉症も疑われたくらいだ…』

自閉症…?
そう言えば奈穂も言ってたな

『親としては心配で心配で…』

酒の助けもあって奈穂の父親は涙を流していた

心配…か…
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