攪恋慕~かくれんぼ~
「たまたま近くに来ていた人に通報されなかったら、無事では済まなかったかもしれないわ……良かった、本当に骨だけで済んで。」

母はそう言うと、鼻を啜った。

近くに居た人……。

そうだ!

僕は怪我の発端である、妹の事を思いだし、慌てて起き上がろうとした。

また足に頭まで突き抜けるような痛みが走り、呻く。

「ぐぅうぅぅ……!」
「駄目よ無理しちゃ!安静にしていなさい。」
「ち、違うんだ。母さん、梅子は?」
「梅子……?」

僕が妹の名を出すと、母さんは怪訝な声を上げた。

「梅子から……梅子から手紙が来ていたんだよ、母さん!」
「尚輝……。」

僕が必死に事のあらましを説明するが、母さんは悲しそうに溜め息を吐く。

「何かの間違いなんじゃないかい?」
「何言ってんだよ母さん!梅子の手紙に間違い無いよ!」

僕は語気を強めて言った。

しかし、それでも母は真に受けてくれない。
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