片翼の天使(短)
羽根を無くした天使
目を閉じると、まるで夢を見ているように、映像が頭の中に流れ込んでくる。

『な、何これ?!』

思わず目を開けて天使を見ると、私の頭の上に手をかざしている。


どうしてか、全然恐怖を感じない。

むしろ、ちょっと落ち着いた気持ちになった。

『信じて。大丈夫だから。』

そう言って、頭にポンッと手をのせた。

『分かった。』

再び目を閉じて、さっきの夢の続きを見始める。



‐花と緑でいっぱいの丘の上に、大きな木。その木には、鳥やリスも住んでいる。

『メタトロン!早く!』

1人の女の人が誰かを呼ぶ。

その女の人は、西洋の人っぽくて…でも、なぜか私に似ているような気がする。

『ユリア!』そう呼びながら、彼女のもとへ飛んで来た、1人の天使。

あ!この天使って…。でも羽根が、両方ちゃんと付いてる。

2人とも、凄く幸せそうに笑ってる。

でも、しばらくして、ユリアという女の人の表情がくもり、ためらいながら話し始めた。


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