岩内さん、フォーカス!
「萌、だよね…?」



萌は小さく溜め息をついた。



「…そうだけど」

「ご、ごめん。萌が、そんなに可愛い格好で来るとは思ってなくて…!」

「…か、可愛い、かな…?」

「うん。そりゃもう、可愛い。今日、カメラを持って来なかったことを後悔してるよ!」

「…よかった…」



萌は頬を染め、バッグを抱いて、俯いた。

そんな仕草をする萌が無性に愛しく思えて、望は萌を、思いきり抱きしめた。

身長が足りず、爪先立ちだった。



「の、望?」



可愛い、以外の言葉が思いつかなかったので、さらに強く、抱きしめた。



神様…!



「望。ここは一応、公衆の面前なんだけど…」



言われて、慌てて離れる。



「ご、ごめん。つい…」

「謝らなくていい。少し、恥ずかしかったけど、その…、嬉しかったから」



どちらからともなく、微笑み合う。

手をとる。



「行こうか。萌」

「うん。望」



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