鎧―キミヲ守ル―
私が瞬斗を見ないように俯いて居ると、瞬斗は隣に座って来た。

紫煙を瞬斗とは逆の方向に飛んでくように顔を背けて吐き出す。

けど、瞬斗に頭を掴まれた。



「ん、ンンッ……」



そして、自分の方に顔を向けると、いきなりキスをされた。

初心者の私にはわけがわからない。

お互いに煙草の味しかしないと思う。

瞬斗の舌に絡み取られた私の舌は、苦さしかない。

今の私の気分にピッタリな味。



「悪い。泣かせるつもりはなかった」



瞬斗は弱々しい声で言うと、目尻、頬とキスを落とし、最後にまた唇にキスをする。

ただ、触れるだけの。
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