一番星


無意識に和妻の腕………と言うか二の腕を掴んでいた。


「…っ!ごっごめん!」


慌てて離す。
結構な力で掴んでた気がする。

「……」


なにも言わない和妻の様子を伺おうとするけど、顔を背けてなんか口を手で押さえているっぽいから分からない。


やっぱ痛かった?


「ねえ、」

「……ん?」


声をかけると普通にこっちを向いた。



「…腕痛い?」

「え、なんで」

「思いっきり掴んだから」

「痛くないよ」

「そっか」


よかった。



「怖かったら、」

「え?」


今度はあたしが問いかけられる。


「怖かったら掴んでていいよ」




………そう言った彼は綺麗に微笑んでいた。







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