一番星



歩き始めて数分、基本無言。

喋るとしたら道を教えるぐらい。

あとはひたすら傘に打ちつける激しい雨音だけが響く。


さすがに密着してて緊張しないわけがない。
しかも相手はあの和妻零二ときた。

話そうにも話題がないし。


私の家まであと30分はあるんだけれど。


無言の辛さってこういうことか。



「あ、次右で」

「うん」



……うんって言われたら返す言葉もない。



ふと、視界がピカッと明るくなって、顔を上げた時、


────ドォォォォン




忘れてた、雷を。

校舎から出る辺りからぱったり鳴らなくなったもんだから、安心していた。


無意識に腕をギュッと握った。



………あれ。




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