やち犬
プロローグ
―――――‥あなたは、まるで野良犬みたいな人だった。
周りを見つめる瞳は、鋭くて、それなのにどこかモノ寂し気で。
自分が甘えたい時は、何知らぬ顔で近寄ってくるクセに、普段は自由気ままの、オレ様。
あたしが少しでも触れようとすれば、噛みついてくるんじゃないんか?!ってくらいに飛びかかってくる。
それなのに――――‥
触れた身体は(心)は、いつも傷だらけだった。
あなたとあたしは鎖では、なく。
‥ただ、受話器越しで繋がれていた。
他の人からしてみれば、それはただの“テルトモ”に近い存在。
けれど、あたしにとっては―――――‥