Color



おこずかいや、バイトで稼いだお金で買えないわけではないけど、ちょっと高くて自分ではなかなか買えずにいた。

このぬいぐるみを買うなら、別のものを買った方がいいんじゃないかって思ってたから。


「いいの…?」

あたしが欲しいって言ってたことや、このくまのキャラクターが好きなことは前から春は知っていた。

現に、このキャラクターが部屋のあちらこちらにあったりする。


「今日給料もらって、やっと買ったんだよ」

そう言って笑った春の顔は、とても優しかった。

だから、もらったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、「大事にするね」って呟いた。

このぬいぐるみを買うために、今日のバイトは外せなかったらしい。

給料日を早めてもらう換わりに、バイトに入る条件で。


「今日はあと少ししかないけど、やっぱ誕生日は祝ってやんないとな」

春はそう言って、ぬいぐるみを抱きしめるあたしに近付いて頭を撫でた。

そして、


「誕生日おめでとう」

と、囁いた。






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