愛

暴力の始まり

あの日からあたしはおかしくなっていたのかもしれない。あたしがテレビを見ていて、好きなタレントをカッコイイと言ったのがきっかけだった。あたしは、ただファンてして言ったつもりだった。なのに、蓮の癇癪スイッチを入れてしまったみたいだった。
「おい。ソイツが俺より好きなのかよ？」
「そんなことはないよ？」
「嘘つくなよっ!!」

バチーン。バンっ。ボスっ。

頬を叩かれて、その勢いで頭を叩かれて、お腹を蹴られた、あたしは、中のものを吐いてしまった。丸まっているあたしに、蓮は留めを指すように背中を蹴った。
「ッ…!!ごめん。ごめんなさい!!蓮、止めてッ!!」
あたしが声を出すとようやく終わる蓮の癇癪。正直、蓮の事がすごく怖い。でも、暴力を振るった後の優しさがとても嬉しくて、あたしは蓮から離れる事ができなかった。