あい*こい





「あたし、電話かけたのよ。
…あの子、泣いてなかったわ」



教室には、いつの間にか俺たちだけになっていた。



「ただ、すごく悲しそうに笑ってた」



不意にぎゅっと胸の辺りを締め付けられるような感覚に陥る。

切ない、とはこういうことだろうか。



「あの子、自分は他の女子と同じだって言ってたわ。でも、違うのよ、根本的なところが。」



『あたし、礼生くんのことが好きなんだもん…っ!』

『早く、あたしのこともっと嫌いになって…』


日和の言葉を思い出して、はっと気づいた。





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